赤ちゃんの生まれつきの「赤いあざ」はなぜできるのか~症状、原因、治療法を解説
目次
- 正式名称は血管腫
- 単純性血管腫について
- 症状
- 原因
- 治療法
- イチゴ状血管腫について
- 症状
- 原因
- 治療法
- まとめ~「あれ?」と思ったら時点で医師に相談を
産まれたばかりのわが子のきめ細やかな肌に「赤あざ」があったら、親はとても不安になると思います。
あざにはいくつか種類があり、赤あざはその1つです。赤といっても真っ赤な色だけでなく、赤ワインのような紫色が入ったものや、薄いピンクや、まだら模様のものもあります。
自然に消える赤あざもありますが、重症化することもあるので注意が必要です。
子供に赤あざをみつけたら、速やかに形成外科を受診することをおすすめします。有効な治療があります。
この記事では、生まれつきの赤あざの症状、原因、治療法を紹介します。
正式名称は血管腫
赤あざの正式名称は血管腫といい、何らかの原因で血液中の赤血球の赤色が皮膚のうえから確認できる状態のことです。
あざは、皮膚の一部が周囲と異なる色になっている状態のことで、赤あざ以外にも、青あざ、茶あざ、黒あざなどがあります。これらは別の皮膚疾患と考えられています。
なお、体を思い切りぶつけたときにできる肌の色の変化も「あざ」と呼ぶことがありますが、これは赤あざとは別の症状です。ぶつけてできる「あざ」は自然に消えるので、「あざ」だけであれば治療は不要です。
そして赤あざにもいくつか種類があります。
代表的な赤あざである、単純性血管腫とイチゴ状血管腫を解説します。
単純性血管腫について
単純性血管腫の症状、原因、治療法を紹介します。
症状
単純性血管腫は生まれつき存在し、形状は平らです(*1)。目立たない場所にできたものだと、親が突然急に発見することもあります。
色は赤ワイン色と表現されることもあり、その他、ピンクに近い薄い色になることもあります。
赤あざによって肌の色が変色している患部と、それ以外の通常の周辺部分との境界線は明確です。
単純性血管腫が自然に消えることはほとんどなく、顔面と頭部にできたものは成人になると盛り上がってくる傾向があるので、その前に治療することがすすめられます。
特に注意しなければならないのは、まぶたの上に生じる単純性血管腫です。これにより、眼球(目のこと)のなかの水分の圧力である眼圧が高くなってしまいます。眼圧が高くなりすぎると視覚障害が起きることがあります。
単純性血管腫と似た症状を引き起こすのですが、別の赤あざに分類されるものがあり、それを正中部母斑といいます。
正中部母斑は眉間、額、まぶたの内側、うなじなどに発生します。
正中部母斑は生後1年半以内に自然に消滅し、ほとんどのものは治療の必要はないのですが、一部で残るものもあるため、やはりみつかった時点で形成外科にかかるのが理想です。
*1:https://www.dermatol.or.jp/qa/qa21/q14.html
原因
単純性血管腫の原因は、皮膚の毛細血管の部分的(局所的)な異常です。「異常」とは、通常より血管が拡がってしまったり、増えてしまったりする現象のことです(*2)。
また、皮膚の深い場所の血管が変形してかたまりになることもあります。
そのため単純性血管腫の治療では、毛細血管に対して行われることになります。
*2:https://www.hosp-urayasu.juntendo.ac.jp/medicalcare/plasticsurgery/angioma/
治療法
単純性血管腫の治療にはレーザーが使われることが多いでしょう。
レーザー治療で期待できる効果は次のとおり(*1)。
■単純性血管腫に対するレーザー治療で期待できる効果
・顔面と首:70~80%有効
・手足など:上記の部位と比較すると治療効果が低い
治療場所によって効果の出方は異なります。
レーザーを使うのは、異常に増えた血管を破壊するためです(*3)。
レーザー照射は痛みを伴うことから、麻酔を使って治療することもあります。場合によっては全身麻酔を使います。
また、患部が盛り上がってしまった場合は、医師から手術で切除することを提案されるかもしれません。
*3:https://www.nms.ac.jp/kosugi-h/section/plastic-surgery/guide_copy_2_copy_2.html
イチゴ状血管腫について
次にイチゴ状血管腫について解説します(*4)。
*4:https://www.dermatol.or.jp/qa/qa21/q15.html
症状
イチゴ状血管腫は生後1-2週間頃に発症し、その後1、2週間で急速に大きくなって盛り上がってきます。
患部はそのあと6カ月~1年で最大になりますが、その後は縮小します。
最終的に消えてしまうこともありますが、小さいながらも細い血管が浮き出てみえたり、ぶよぶよした状態になったり、皮膚が萎縮したり、痕(あと)が残ったりすることがあります。
以上の流れをまとめると、イチゴ状血管腫は以下のような経過をたどります。
生後1週間~2週間 | 発見から1~2週間 | 6カ月~1年 | その後 |
発生 | 急速に大きくなり盛り上がる | 最大になる | ・消える・血管が浮き出る・ぶよぶよ・皮膚が萎縮する・痕が残る |
イチゴ状血管腫の症状が消えないと潰瘍(かいよう)になることがあります。潰瘍とは、ただれた状態のことです。
身体活動に支障がない場所にできても、潰瘍は見た目がとても気になるでしょう。
さらに、のどにイチゴ状血管腫の症状が強く出ると、呼吸をしたり、食べたりすることに支障をきたすことがあります。呼吸に支障をきたすことを気道閉塞といい、食べにくくなることを摂食障害と呼びます。
そして日本皮膚科学会は、イチゴ状血管腫のなかには「生命の危険を及ぼすものもある」としています(*4)。
このことからも、親は子供に赤あざをみつけたら早めに形成外科や皮膚科に診せたほうがよい、といえます。
原因
イチゴ状血管腫の原因も皮膚の毛細血管の異常です。説明の内容は、先ほど紹介した単純性血管腫の原因とほぼ同じです。
治療法
イチゴ状血管腫のうち自然に治るタイプのものは治療不要ですが、一般の人では、治療が必要なイチゴ状血管腫なのか不要なものなのかの判断はできません(*5)。形成外科などの医師に診せて診断してもらったほうがよいでしょう。
イチゴ状血管腫の治療ではステロイドやプロプラノロールという薬を使います(*4、5)。
レーザー治療も選択肢に入りますが、症状が悪化しているときはレーザーでは増殖を止められない可能性があります。
*5:https://www.itabashi.med.nihon-u.ac.jp/search/term/185
まとめ~「あれ?」と思ったら時点で医師に相談を
本文中でも繰り返し述べましたが、赤ちゃんに赤あざがみつかったら早めに形成外科クリニックなどを受診することをおすすめします。
赤あざは良性腫瘍と呼ばれることもありますが、この場合の良性とは「悪性ではない」という意味であって、決して「よい」という意味ではありません(*3)。
自然に治ることもあるのですが、悪化することもあり、悪化すると、視覚障害や気道閉塞、摂食障害といった苦しみをともなう症状に進んでしまうこともあります。
そして身体的な苦しみがなくても、見た目が気になれば子供の心理やメンタルに悪影響を及ぼす可能性もあります。
こうしたことから、親が突然急に「あれ?」と感じたら、なるべく早く医者に診てもらいましょう。
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