いちご状血管腫
目次
いちご状血管腫とは?

いちご状血管腫は乳児血管腫とも呼ばれ、乳児の皮膚にできる赤あざで体の様々な場所で見られる良性腫瘍の一つです。
血管のあるところならどこにでもできる可能性があり、皮膚表面だけではなく、時には内臓に現れることもあります。
見た目がいちごのように赤く凹凸があるため、いちご状血管腫と呼ばれています。
日本人の発症頻度と特徴
性別では女児が圧倒的に多く、低出生体重児や早産で生まれた場合がなりやすいなど、一定の傾向があるとされています。また、日本人の発症頻度は0.8〜1.7パーセントとされており、決して珍しい病気ではありません。
症状の経過と形・大きさ
数ミリのものから10㎝を超えるものまで、形や大きさはさまざまです。生後直後にはなく数日から数週間後に現れ、急激に大きくなります。生後半年ごろまで増大し、1歳を過ぎたころから縮小が始まりますが、3歳から6歳で自然に消退して気にならなくなっていきます。
いちご状血管腫の主な3つのタイプ
いちご状血管腫は、症状の現れ方によって主に3つのタイプに分けられます。
| 主なタイプと特徴 | |
|---|---|
| 主なタイプ | 特徴 |
| 表在型(局面型) | いちごの形に似た血管腫が特徴的で、皮膚の表面に血管腫が見えています。 |
| 深在型(皮下型) | 表面からは赤い部分が見えず、皮膚の下に血管腫が潜り込んでいるため、初期には診断が難しいタイプです。 |
| 混合型 | 表在型と深在型が混ざっているタイプで、皮膚の下に血管腫がありますが、表面が皮膚から出て赤く盛り上がって見えます。 |
他の赤あざ(単純性血管腫など)との違い
赤ちゃんの赤あざにはいちご状血管腫の他に、単純性血管腫(サーモンパッチ・ウンナ母斑・ポートワイン母斑)があります。これらとの違いとしては、いちご状血管腫が皮膚から盛り上がっているのに対し、他のあざは平坦で盛り上がりがないことです。
いちご状血管腫はいちごのようにぷつぷつと凹凸があるのが特徴なので、見た目で判断する目安になります。しかし、自己判断は危険です。気になるあざがある場合は、専門のクリニックで診断をもらうことをおすすめします。
いちご状血管腫ができる原因
いちご状血管腫は、未熟な毛細血管が異常に増殖してしまうことでできます。完全には原因が解明されていませんが、いくつかの要因が関連していると考えられます。まず、胎児期の低酸素ストレスや高レニン血症などが発症しやすい条件と言われています。さらに、毛細血管を作る細胞が皮膚やその奥で過剰に増え、腫瘍を形成していることも要因の一つです。
早期治療が推奨されるケースと放置するリスク
いちご状血管腫は自然消退するため、以前は治療対象とならず経過観察が基本となっていました。しかし、近年では早期の治療が推奨されるケースが多くなっています。
跡が残る・出血するリスク
急激にサイズが大きくなるもの、盛り上がりが強いものなどは、自然消失したのちも皮膚がたるんでしわのようになったり、細かな血管が消えずに赤みが残ったりと、瘢痕(跡)に残りやすくなります。また、出血や潰瘍を伴いやすくなるリスクもあります。
治療は「痕を残さないこと」が焦点となるため、大きくなってしまってからの治療では間に合いません。大きくさせないことが大事ですので、早期の治療をおすすめしています。
合併症や機能障害のリスク
鼻・口・首・眼や耳の周辺にできると、気道や食道の圧迫、視力や聴力など感覚器への影響がでる可能性があります。このような場所にできた場合は、気になったらすぐにクリニックで診てもらうようにしましょう。
いちご状血管腫の治療方法
治療には主にレーザー治療と内服治療があり、両者を併用する場合もあります。部位やタイプ、大きさなどを考慮し、最適な治療方針を決めます。
レーザーでの治療
あざの増大を抑えて痕を残しにくくするため、基本的には早期からレーザー治療を行います。施術時は表面麻酔を用い、冷たい空気を当てて皮膚を保護しながらレーザー照射を行うため、少ない痛みで、数分で終了します。基本的には3ヶ月に1回のペースで行いますが、増大が速い場合は2週間や1カ月毎でレーザー照射を行うこともあります。
当クリニックでは最新レーザー機器「Vビームプリマ」を使用しています。従来のレーザー機器と比べてお肌への負担や痛みを最小限に抑えることができるため、お子さんにも安心して使うことができます。
最新レーザー機器「Vビームプリマ」について、さらに詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。
Vビームプリマについて
副作用や術後の注意点
レーザーは熱を加えますので、軽いやけどのような状態になります。周囲に赤く炎症が起こったり、紫斑ができる可能性がありますが、1~2週間ほどで消失します。
また稀に潰瘍ができることがあり、できた場合は適切な軟膏処置を行います。術後には、状態によって軟膏治療や紫外線ケアを行いますので、医師の指示に従いましょう。
乳児への負担が少ない内服治療
内服治療ではへマンジオールシロップというお薬を使用します。サイズの増大が急激なもの、鼻・口・首・眼・耳などの部位にできたもの、顔の広範囲にあるものなどは積極的な使用が推奨されています。
薬を飲むだけなので、乳児への負担が少なくレーザーの痛みが心配な乳児に適している治療法です。また保険適用なので、成長する前の早期治療が最も負担を軽減できます。
そのほかにも、いちご状血管腫はとにかく大きくさせないことが重要ですので、整容面(見た目)で問題になりそうなものに対しては、積極的な内服をおすすめしています。
※基本的には入院の上で治療開始となりますので、当院では内服治療自体はできません。内服適応と判断した場合は適切な医療機関にご紹介いたします。
治療費用と助成金について
赤ちゃんのあざ治療は健康保険適用となります。また、大阪市のこども医療費助成制度などの適用を受けることで、ご家庭の金銭的な負担を減らしての治療が可能です。各自治体の助成制度や詳しい費用については、医師やスタッフまでお気軽にご相談ください。
大阪市の助成金制度の詳細についてはこちらをご覧ください。
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000369443.html
いちご状血管腫の治療についてのQ&A
Q. 治療をせずに放って置いて大丈夫?
A. いちご状血管腫は、数年で自然に赤みが消えていく病気なので放っておいても命に関わることはありません。しかし、たるみなどの跡が残る場合があるため、場所や大きさによっては成長した時に見た目が気にならないように早期から治療するケースが推奨されます。
Q. 診断のためにどんな検査をするの?
A. いちご状血管腫と診断するためには、症状が現れた時期や大きくなったタイミングを問診します。次にただれや出血の有無、色やふくらみを確認する視診を行います。最後に硬さや温度、押した感覚などを確認する触診をします。
Q. 治療をすればきれいに治るの?
A. いちご状血管腫の治療は、血管腫が増えるのを抑え、跡が残る範囲を減らしたり小さくしたりするのが目的です。ただし病変の部位や治療を開始した時期などの違いで、改善の仕方には個人差があります。不明な点は医師に相談するといいでしょう。
Q. 治った後に再発することはある?
A. いちご状血管腫は、症状が改善した状態で自己判断により治療を中断した場合、症状が再燃(再び悪化)するケースがあります。再燃を防ぐためにも医師の指示に従い、保護者の判断で治療を中断しないようにしましょう。
困ったときは当クリニックへお越しください
いちご状血管腫をはじめ、お子さんのあざはご自身の事以上に心配になるものです。当クリニックでは、そんな親御さんの心配が少しでも和らぐよう的確な診断・治療・ケア・アドバイスを行っています。気になるあざがある場合は、ぜひ早めにクリニックへお越しください。
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