単純性血管腫の原因や見分け方を解説|早期治療がおすすめの理由とは
単純性血管腫とは
単純性血管腫についての概要を以下の通り解説します。
- 単純性血管腫になる原因
- 単純性血管腫の症状
- 単純性血管腫が発生する割合
- 放置した場合どのようなリスクがあるか
単純性血管腫になる原因
単純性血管腫は、皮膚の毛細血管が部分的に異常を起こしていることが原因で発生します。異常な状態とは、血管が広がっているなど変形している、あるいは増殖している状態です。
胎児期における血管の形成異常で発生するため、生まれた時からできています。なぜこのように血管の異常ができるのか、根本的な原因はわかっていません。
また皮膚の表面だけでなく、深い部分にある血管が変形し塊になることもあります。
単純性血管腫の症状
単純性血管腫が発生している部分の色は、赤色・暗赤色・ピンク色などがほとんどです。ワイン色と表現されることもあり、このため「ポートワイン母斑」とも呼ばれます。
あざの部分は平らで、変色部とその周辺との境目は、はっきりしているのが特徴です。局所から広範囲にわたる場合など、さまざまな大きさがあります。
単純性血管腫は成長の過程では発生しません。また、体の成長と共に、あざが広がる場合があるものの、急激に大きくなることはありません。顔面や頭部にできた場合は、大人になってから紫色に変色する場合や、あざが盛り上がることがあります。
単純性血管腫が発生する割合
単純性血管腫が発生する割合は0.3%程度とされ、性別による割合の違いはありません。部位別には、顔面や頸部(くび)に多く発生します。
ただし体幹上部や、四肢にできることも多く、体のどこにでもできる赤あざです。
放置した場合どのようなリスクがあるか
単純性血管腫は放置した場合、いくつかのリスクがあります。
単純性血管腫は、そのまま放っておいても消えることはありません。むしろ身体の成長により皮膚面積が広がることで、あざが大きくなる場合があります。また、最初は平らであっても大人になるにつれ、あざの部分が盛り上がったり、でこぼこになったりすることもあります。
このように整容上の問題があり、幼児期における見た目の問題は、精神面に影響するかもしれません。他にも、まぶたにできた場合に視力障害を引き起こすなど、発生箇所によっては身体機能へのリスクもあります。
単純性血管腫は、合併症を引き起こしていることがあります。合併症とは(スタージ・ウェーバー症候群、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群)などです。
スタージ・ウェーバー症候群は、てんかん発作や運動麻痺などの神経症状、あるいは緑内障などの眼症状をともないます。クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群は、手足にできた血管腫により疾患部が肥大する病気です。クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群の症状は、成長につれ進行し、機能障害や整容上の問題を引き起こします。
このように、単純性血管腫を放置することは、さまざまなリスクがあると言えるでしょう。
単純性血管腫の見分け方や他の赤あざとの違い
赤あざにはいくつかの種類があります。単純性血管腫以外の赤あざや、その特徴を以下に解説します。
「あざ」とは皮膚の一部が、周囲の色と異なっている状態です。体をぶつけた際にできる肌の変色もあざと呼ばれますが、血管腫とは別の症状です。
苺状血管腫
苺状血管腫は、小さいものは数mmで、大きいものは10cmを超える場合があります。形はさまざまで、あざの部分が盛り上がっているのが特徴です。特に発生箇所は決まっておらず、体の各所にできます。
生後数日から数週間後に現れ、急激に大きくなるのが特徴です。その後だんだん縮小し、10歳くらいまでにはほとんどなくなります。このため、治療せずに経過観察することが多いです。
しかし発生した箇所により、身体機能に影響を及ぼす可能性がある場合などには早期の治療が必要です。
サーモンパッチ
サーモンパッチは「正中部母斑」とも呼ばれる赤あざの一種です。できる箇所で呼び分けられ、眉間やおでこ、まぶたなど、顔の真ん中にできるあざをサーモンパッチと呼びます。
新生児の20〜30%に発生し、生後すぐに現れほとんどの場合は、1歳から1歳半くらいの間で自然に薄くなり消えていきます。
色は淡い赤色で、でこぼこの無い平坦なあざです。あざと周辺の境目ははっきりしていません。
ウンナ母斑
ウンナ母斑は、うなじや頭部にかけて発生する赤あざを呼びます。
色は淡い赤色で平坦なあざです。あざとその周辺の境目ははっきりしていません。生まれつきできていて、3歳くらいまでには薄くなっていることが多いです。まれに色の濃い場合などは消えないことがあります。
単純性血管腫の治療について
単純性血管腫の治療について以下を解説いたします。
- 単純性血管腫に治療は必要なのか
- 治療のタイミングはいつ
- 単純性血管腫の治療にはレーザー治療が一般的
単純性血管腫に治療は必要なのか
単純性血管腫は、治療が必要なケースがあります。発生した箇所により身体機能に影響を及ぼすことがあるからです。例えば、まぶたにできた場合は、視力障害を引き起こす可能性があります。
あるいは合併症を引き起こしている場合です。スタージ・ウェーバー症候群、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群などがあり、診察によりこれらの合併症が発見される場合があります。
単純性血管腫は、自然に治ることはありません。むしろ身体の成長にともなって大きくなる場合や、大人になると盛り上がってくる場合があります。特に頭部や顔面にできた場合に成長につれ盛り上がることが多く、このことから身体機能以外にも、精神的な影響を考えて、早期に治療を検討することが有効です。
治療のタイミングはいつ
治療は基本的にどのタイミングでもできます。しかし大人になってからよりも、幼児期など早期の治療がおすすめです。
レーザー治療では、皮膚の薄い幼児期の方が治療の効果が高まります。また、治療を先のばしにすることで、あざの面積が広がったり、盛り上がってきたりする場合があるため、早期に治療した方が良いでしょう。
早めの診察を受けることで、合併症の早期発見につながり、視力障害などの身体的リスクも避けられます。
単純性血管腫の治療にはレーザー治療が一般的
単純性血管腫の治療は、レーザー治療が一般的です。レーザー治療は副作用が少なく、7〜8割程度の治療効果が見込めます。
レーザー治療は、患部にレーザーを照射し、増殖した毛細血管を閉塞する方法です。一度で完了することはほぼなく、数回治療を続けていくことで次第にあざが薄くなっていきます。
レーザー治療は赤ちゃんであっても施術可能です。むしろ赤ちゃんの方が、皮膚が薄いため治療効果が出やすいでしょう。
レーザー照射後は毛細血管が壊れるための内出血や、熱を加えた部分の炎症、水ぶくれなどの症状がでる場合があります。
当院のレーザー治療について
当院のレーザー治療で使う機器はVビームプリマです。Vビームプリマは、レーザー照射直前に冷却ガスを噴出することで、表皮を熱損傷から守ります。
このため従来のレーザー機器よりも肌への負担や痛みなどを抑え、安全な治療が可能です。施術時間は1回の治療で1〜10分程度で済みます。
赤ちゃんの治療は保険適用です。このため、0〜3割負担での治療ができます。
費用の目安は以下の通りです。(初・再診料、麻酔代金、処方箋料等の基本の保健理療費は別)
費用の目安 | ||||
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面積 | 10cm2 | 11〜20cm2まで | 21〜30cm2まで | 31〜40cm2まで |
費用 | 21,700円 (1割負担:2,170円/ 3割負担:6,510円) |
26,700円 (1割負担:2,670円/ 3割負担:8,010円) |
31,700円 (1割負担:3,170円/ 3割負担:9,510円) |
36,700円 (1割負担:3,670円/ 3割負担:11,010円) |
※10cm2ごとに5,000円が加算されます。上限は106,700円です。
気になる方は医師による診察を
単純性血管腫は放っておいても自然に消えることはありません。赤あざにはいくつかの種類があり、見極めが難しい場合もあります。
また、単純性血管腫の治療は大人よりも幼児の方が治療の効果が出やすいです。あざがあることによる身体的・精神的な影響を考えても、早期の診断や治療がおすすめです。
当院ではレーザーによる最新治療で施術し、日帰り治療にも対応しています。血管腫全般の診察、治療はぜひお任せください。
あざ治療をご希望の方は、
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